キャリアアップや転職を考える上で大事なこと

人生で自分のキャリアを振り返ることがあるとしたら、どんな時ですか?

 

その時あなたはどんなことを考えますか? 私って何者だろう? これからどこに向かっていけばいいの??などと考え不安になってしまうことはありますか?―――

 

私が臨床心理士として初めて仕事として携わり最も長く関わっているのが、ハローワークでの就労支援です。
「え?心理士が就労支援ってどんなことをするの?」と思う方も多いと思います。何しろ約15年前の当時ハローワークで心理士が働くということ自体が珍しく新しい試みでしたから。

 

来談される方のお話をお聴きしながらすぐに就労支援にこころの支援は必須と感じました。働くことは生きることそのものですし、自分に合った仕事を見つけることは心を安定させて生きていくことでもあり、その答えが見つからないもどかしさや不安感を抱えている方が世代に関わらず多くいらっしゃることを実感したからです。

 

心理カウンセリングでじっくりとお話をうかがいながらも適性・適職を知ることと、自分を知ること(自己分析)はセットでなければいけないことを当時から強く感じていました。

 

 

「自分を知るには自分探しを自分でしないこと」

今や自分を知るための心理テストはネット上でも一般向けの心理系の本でも目に触れる機会はとても多くなりました。それほど人の心理や自分自身について知りたいと思う人が多いということでしょうか。

 

確かに「自分について知りたい」「自分のことがわからない」とご相談いただく機会は多いです。ただこれを自己流でテストをしてみたりやみくもに自分調べをすると、解釈が難しかったり整理ができなくなってしまい、自分を知るどころかわからない状態に陥ってしまうことがあります。

 

自分を知るためにひとりで自分調べをしてもわからない事の方が多いのが一般的な心理学の考え方です。人間とはわからない存在なのです。

 

 

何のための自分探しか?

目的にあった自分探し・自分調べをすると、わかることが増えてきます。

 

「キャリアアップを目的とした自分調べ」であれば、それに必要な自分のこと(情報)を知ればいいわけです。なぜ今までの仕事が楽しく出来なかったのか、なぜいつもこころがざわつくのか、適職か否かの前に、目的に沿った自分のタイプを知っておくことで、自分の「なぜ?」に対し「納得!」と実感することができるでしょう。

 

又迷いがあったり長く続かない場合、「こうあるべき」という思考が先行し、本来の自分ではなく求められる自分に合わせてキャリアを考え、結果的にもやもやしながら就職し、人と比べて自信が持てなくなる状況を招いてしまいます。

 

「こうあるべき」は、あるところまでは自分を保てますがいずれストレスを感じるようになります。ストレスが過ぎるとライフとワークのバランスが崩れていきます。

 

キャリアアップや転職を考える時には「自分を知る」その上で「自分に合った職業を探す」そして「自分と職業」の両方を合わせて考え、その場所でその仕事をしていくことを了承し納得して働くことができるかを考えていけたらと思います。

 

 

 

キャリアアップを考える時は自分にベクトルが向く時

あなたはどんな時にキャリアアップや転職を考えますか? 職場での人間関係がうまくいかなくなった時? 仕事で失敗した時?それとも恋人と別れた時? 結婚した時? 大抵は何かきっかけとなるエピソードに遭遇して「転職したい」「キャリアアップしたい」「何かを変えたい」と考えることが多いようです。 30代、40代、50代を区切りとして「このままでいいのかな」「今の仕事を続けていていいのかな」と考える方もいらっしゃいます。

 

 

人生100年時代を謳われるようになったここ2,3年は、リタイアをするべき時期やリタイア後の人生設計をキャリアとともに考えたいという方もいらっしゃいます。余生というには長くそしてまだまだ若く?バイタリティもある(であろう…)自身のキャリアを生き方とともに考えておきたいという気持ちはどなたにもあることではないでしょうか。

 

 

 

さらには新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけにこれまでの常識が塗り替えられ、ポストコロナ社会での新しい働き方・生き方が課題として浮上してきました。

 

そんな時に一気にベクトルが向かうのは他でもない自分自身です。家族の一員、職場の一員であり続けた自分を、一旦見直したくなるのは当然のことといえます。

自分らしいキャリアライフやキャリアデザインを考えるならまずは専門家とともに目的に沿った自分を知ることをお勧めします。大人になると「こうあるべき」といった社会的な要請や期待に応えようという思いが強くなり自分らしく仕事をするということから遠ざかっていくような経験をした方も多いのではないでしょうか。

 

すべてが思い通りの仕事に就くことができるわけではありませんし、それが幸せということでもありませんが、自分らしさを知った上で働くこと、生きていくことを考えることがこの多様な世界で納得して生きていくことに繋がるのだと思います。

 

 

心理サロンもちの木 中村